抗酸化物質は優れたラジカル消去活性を示すため放射線防護剤への応用が期待されている.一方,抗酸化物質の活性評価には,安定ラジカルである2,2-ジフェニル-1-ピクリルヒドラジル(DPPH)ラジカルが頻用されているが,水にまったく溶けないため,水溶液中で用いるためにはエタノールなどの共溶媒が必要である.その際,pHを制御するために高濃度の緩衝液を用いると,緩衝塩が析出するという問題があった.我々は最近,シクロデキストリンを用いてDPPHラジカルの水溶化に成功した.本稿では,この水溶化DPPHラジカルを用いた高濃度緩衝液中における水溶性抗酸化物質の速度論的活性評価法について紹介する.