2020年 学会誌 第109号
会誌「放射線化学」(ISSN 2188-0115)
■2020 No.109 [PDFファイル・全ページ]
巻頭言
「科学リテラシーを考える」
泉 佳伸(福井大学) [PDFファイル]
特集記事「ESR法を用いた放射線の科学の最近の進歩」1
「ESRによる照射植物性食品・医薬品原料の検出と品質評価への応用」
山沖 留美(大阪薬科大学) [PDFファイル]
植物性食品や植物薬などの天然物は,虫やカビの影響を受けやすい. 植物原料への放射線殺滅菌技術開発の一環として,香辛料や生薬を電子線照射し,電子スピン共鳴(ESR)分光法による照射品の検出方法を確立した.炭水化物に由来する安定ラジカル種は,照射した香辛料と生薬で観察された.スクロース含有量の高い原料では,スクロース量とESR信号強度の情報を元に,吸収線量の推定などの品質評価へのESR利用が期待できる.
特集記事「ESR法を用いた放射線の科学の最近の進歩」2
「大線量標準の構築に向けたアラニン/ESR線量計システムの予備検討」
山口 英俊(産総研),清藤 一(量研) [PDFファイル]
日本でこれまで整備されてきた水吸収線量標準は,約200 Gyまでであり,それ以上の線量については海外の標準機関に依存している.大線量の放射線は,医療機器の滅菌や食品照射などに使用されており,これらの照射目的では,照射製品の品質が線量に依存するため,線量管理が非常に重要である.そのため,産業技術総合研究所ではアラニン線量計を用いた大線量標準の開発を進めている.アラニン線量計は,放射線照射によって生じたアラニンラジカルの量を,電子スピン共鳴(ESR)装置を用いて定量することで線量を求めることができる.本稿では,大線量標準を確立する上で必要なESR測定の概要について紹介する.
特集記事「ESR法を用いた放射線の科学の最近の進歩」3
「ESRから調べるDNAの放射線損傷機構」
小林 一雄(大阪大学) [PDFファイル]
この総説では, 放射線照射による直接のDNAのイオン化により引きおこされる反応素過程について述べる.DNA放射線照射の初期過程はランダムなDNAのイオン化により,DNAのラジカルカチオンと電子が生成する.低温(4 Kまたは77 K)における放射線照射により,その反応中間体をESRスペクトルで捉え,さらに昇温させることにより,脱プロトン化や電荷移動反応を追跡することができる.また生成したホールはグアニンに,一方電子はチミンもしくはシトシンに局在することも明らかになった.
展望・解説
「高強度レーザー照射による非平衡反応場と金属・合金ナノ粒子合成」
中村 貴宏(東北大学) [PDFファイル]
高エネルギーのフェムト秒パルスレーザー光を強く集光することで焦点付近において高強度の非平衡反応場を実験室レベルで容易に形成することができる.この高強度反応場を水中に形成した場合,水溶液中への電子線やガンマ線などの高エネルギー照射と同様スキームによって水の光分解を通じて各種ラジカルが発生する.本報では,高強度レーザー照射によって形成される非平衡反応場における反応と,各種金属,合金ナノ粒子の形成について説明する.
討論会の話題から [PDFファイル]
「高線量率電子線照射によるCO2変換」
細川 洋一(豊田中研)
会員のページ [PDFファイル]
「田畑 米穂先生を偲んで」
編集委員会委員長
「放射線化学における新しい展開への提言」(32号(1981年)巻頭言)
田畑 米穂
「新しいビーム利用の展開」(48号(1989年)巻頭言)
田畑 米穂
「核・放射線と人類」(80号(2005年)巻頭言)
田畑 米穂
「百号記念出版に際して」(100号(2015年)記念特集: 第I部回顧録)
田畑 米穂
書評 [PDFファイル]
「The Book Review of Radiobiology for Radiobiologist」
平山 亮一(量研)
ニュース [PDFファイル]
「The 4th Japan-China Joint Workshop on Positron Science(JWPS2019)報告」
JWPS2019実行委員会事務局
「参加報告:第3回QST国際シンポジウム」
泉 雄大(広島大学)
お知らせ [PDFファイル]
「APSRC2020プログラム」
APSRC事務局
本会記事 [PDFファイル・これ以降全て]
事務局より:理事会議事録等 (事務局)
賛助会員名簿