- はじめに:レーザー生成プラズマEUV光源の最近の動向
東口 武史(宇都宮大院工) [PDFファイル(937 kB)]
次世代半導体リソグラフィー露光量産用EUV光源の開発が進んでいる.反射率が65 %-70 %のMo/Si多層膜鏡と光学結合するため,波長は13.5 nmである.光源はSn多価イオンプラズマ中でのn = 4 - n = 4遷移間の放射によるものである.帯域幅2 %,立体角2 π srでのエネルギー変換効率は4.7 %である.119時間連続で平均出力132 Wの運転が可能になっている.
- プラズマ発光特性解析のための価数分離多価イオン発光スペクトル測定
大橋 隼人(富山大院理工) [PDFファイル(1.7 MB)]
次世代半導体リソグラフィやX線顕微鏡の光源としてプラズマの応用技術開発が精力的に行われているが,プラズマの複雑な情報を含んでいる発光スペクトルの解析は理論計算に頼る部分が大きい.しかし,シミュレーション計算に用いられる原子データが全て理論計算によるものでは,その精度には限界があるのが現状である.本章では,プラズマを構成している多価イオンの遷移波長データ取得に有用な手法として,発光価数が限定可能な電荷交換分光法と,プラズマ中の最高イオン価数が制御可能な電子ビームイオントラップ(electron beam ion trap: EBIT)を用いた分光実験を紹介する.
- プラズマ発光特性解析のための価数分離多価イオン発光スペクトル測定
松隈 啓,藤岡 慎介,余語 覚文,西村 博明(阪大レーザー研),児玉 健,柳田 達哉(ギガフォトン) [PDFファイル(1.3 MB)]
レーザー生成プラズマから発せられる極端紫外線(Extreme Ultraviolet, EUV)光源・水の窓光源はレーザーエネルギーから放射エネルギーへの変換効率を高めることが重要である.EUVリソグラフィの産業化を間近に控える背景から,変換効率を上げるための様々な研究がなされてきた.特に20 μm程度のスズの液滴(ドロップレット)をパルスレーザー照射により先行膨張させた後,CO2レーザーを照射する手法はEUVリソグラフィ光源業界の標準手法となっている.本稿では,レーザーによるプラズマの生成とそこからのEUV放射に関して述べ,EUV放射への変換効率を高めるために我々が行った2つの診断技術に関して解説する.
- EUV光源用プラズマのための協同的トムソン散乱計測システム構築
富田 健太郎,佐藤 祐太,江口 寿明,築山 晶一,内野 喜一郎(九大院総合理工),柳田 達哉,戸室 啓明,神家 幸一郎,和田 靖典,國島 正人,児玉 健,溝口 計(ギガフォトン),砂原 淳(レーザー総研) [PDFファイル(1.3 MB)]
EUVリソグラフィーは実用化に向けて,光源出力改善が強く望まれている.プラズマを光源として使用する以上,それを最適化するためには、電子密度(ne)や電子温度(Te)といった基礎パラメータを制御し,最適なイオン価数(Z)を達成することが重要となるが,一般に微小(< 1 mm),短命(< 100 ns)な光源プラズマのne,Te,Zを十分な時間空間分解能で計測するには困難がともなう。筆者らは協同トムソン散乱で得られるイオン項スペクトルを,独自の分光器を作製することで計測し,EUV光源用スズプラズマ内のne,Te,Zやドリフト速度の空間分布一括計測が可能であることを示した.
- プラズマEUV光源の原子過程と流体力学シミュレーションの課題
佐々木 明(量研機構) [PDFファイル(1.0 MB)]
レーザー生成プラズマを媒質とするEUV光源研究開発において,実験結果の解析や最適化に用いられている原子過程,流体力学のシミュレーションの物理モデル,計算手法について紹介する.スズプラズマからEUV光が発生する機構,すなわち10価前後イオンの原子スペクトル線の性質をもとに,原子過程,輻射輸送のモデリングの重要性を示し,また,最近,高出力,高効率を達成するために用いられるようになった,ダブルパルスレーザー励起において初期にターゲットが溶融,蒸発する過程のモデリングの現状や課題を紹介する.
- プラズマ発光特性解析のための価数分離多価イオン発光スペクトル測定
砂原 淳(レーザー総研) [PDFファイル(2.0 MB)]
波長13.5 nmの極端紫外光源は次世代の半導体リソグラフィーの露光装置で用いられる光源として期待されている.EUV光源の高出力,高効率,高寿命化を目指した研究が世界中で進められ,最近では 200 Wレベルの EUV 出力がスズドロップレットに対してレーザーを照射することにより達成され,半導体の量産に要求される光源出力を達成しつつある.本稿ではスズドロップレットにレーザーを照射する際のスズの挙動,及び生成するスズプラズマからの EUV 発光特性について述べる.また,EUV 光源の課題について言及する.